「秋になってから、くしゃみと鼻水が続いている」

「風邪だと思っていたけれど、熱はなく、目や鼻がかゆい」

このような症状は、秋の花粉症やダニによるアレルギー性鼻炎の可能性があります。

花粉症というと春のスギ・ヒノキを思い浮かべますが、秋にも花粉症はあります。また、秋は寝具の入れ替えなどでハウスダストが舞いやすく、ダニアレルギーの症状が目立つこともあります。

今回は、秋の花粉症と風邪の違い、原因の調べ方、家庭でできる対策について解説します。

秋にも花粉症はあります

秋の花粉症では、主に次のような草本植物の花粉が原因になります。

  • ブタクサ
  • ヨモギ
  • カナムグラ
  • イネ科植物の一部

飛散時期や飛散量は、地域やその年の気温、天候、周囲の植生によって変わります。「毎年、何月何日がピーク」と一律には決められません。

ブタクサやヨモギ、カナムグラは、河川敷、空き地、道路沿いなど、生活圏の近くにも生えています。草が多い場所を歩いたあとに鼻や目の症状が強くなる場合は、秋の花粉が関係している可能性があります。

秋はダニアレルギーも症状が目立つ時期です

ダニによるアレルギー性鼻炎は、一年を通じて症状が起こる「通年性アレルギー性鼻炎」です。

原因となるのは、主に室内にいるヒョウヒダニの死骸やフンに含まれるアレルゲンです。寝具、カーペット、布製のソファなどにたまりやすく、掃除や衣替えによって空気中に舞うことがあります。

日本の住宅を調べた研究では、ダニやダニ由来アレルゲンは夏から秋に多くなる傾向が報告されています。[3] ただし、住宅環境や掃除、湿度などによって差があります。

秋の鼻症状が、すべて花粉によるものとは限りません。屋外だけでなく、自宅、とくに寝室で症状が強くなる場合は、ダニやハウスダストも候補になります。

秋の花粉症と風邪はどう見分ける?

症状だけで完全に区別することはできませんが、次のような違いが参考になります。

症状アレルギー性鼻炎風邪などの感染症
鼻水透明でさらさらした鼻水が多い初期は透明でも、経過とともに粘りが出ることがある
くしゃみ連続して出やすい出ることはあるが、連続しない場合も多い
鼻・目のかゆみ比較的多い通常は目立ちにくい
発熱・倦怠感基本的には目立たないみられることがある
のどの痛み鼻水がのどへ流れて違和感が出ることはある比較的よくみられる
経過原因に触れると繰り返す数日単位で症状が変化することが多い

透明な鼻水だから必ずアレルギー、色のついた鼻水だから必ず細菌感染というわけではありません。

アレルギーと風邪が同時に起こることもあります。症状が長引く場合や判断が難しい場合は、鼻の中を診察して原因を考えることが大切です。

耳鼻咽喉科では何を調べる?

診察では、症状が出る時期や場所、目のかゆみ、発熱、のどの痛みなどを確認します。

そのうえで、鼻の粘膜の腫れ、鼻水の状態、鼻ポリープや副鼻腔炎の有無などを診察します。

必要に応じて、血液検査などで特定のアレルゲンに対するIgE抗体を調べます。ただし、検査が陽性であることは「その物質に反応する準備がある」という意味であり、現在の症状の原因だと直ちに確定するものではありません。当院で行なっているアレルギー検査については下記をご参照ください。

検査結果と、症状が出る季節・場所・生活環境を合わせて判断します。[1,2]

家庭でできる秋の花粉・ダニ対策

秋の花粉への対策

  • ブタクサやヨモギなどが多い草むらへ不用意に近づかない
  • 草刈りや屋外作業ではマスクや眼鏡を使用する
  • 帰宅時に衣服や髪についた花粉をできる範囲で落とす
  • 花粉が多い時期は、外で使用した衣類を寝室へ持ち込まない
  • 症状が出る場所や時期を記録する

秋の原因植物は身近な空き地や河川敷にも生えているため、「どこへ行った日に症状が強かったか」が原因を考える手がかりになります。

ダニ・ハウスダストへの対策

  • シーツや寝具カバーを定期的に洗濯する
  • 寝具を十分に乾燥させる
  • マットレスや枕にアレルゲンを通しにくいカバーを使用する
  • 床や家具の下にほこりをためない
  • カーペット、布製ソファ、ぬいぐるみなどを必要以上に増やさない
  • 室内の湿度が高い状態を長く続けない

一つの対策だけでダニを完全に除去することは困難です。無理なく続けられる方法を組み合わせます。

アレルギー性鼻炎はどのように治療する?

アレルギー性鼻炎の治療は、鼻水、くしゃみ、鼻づまりのどれが強いか、症状が生活や睡眠にどの程度影響しているかを確認して選択します。

主な治療には次のようなものがあります。

  • 第2世代抗ヒスタミン薬
  • 鼻噴霧用ステロイド薬
  • 抗ロイコトリエン薬など
  • 点眼薬
  • アレルゲン免疫療法

治療薬は、眠気などの副作用や年齢、妊娠・授乳、ほかに使用している薬なども考慮して選びます。鼻噴霧用ステロイド薬は、適切な方向へ継続して噴霧することも重要です。[1,2]

鼻閉症状の強い方にはレーザー治療も候補となります。

舌下免疫療法について

日本で一般的に行われている舌下免疫療法の対象は、スギ花粉とダニです。

ダニアレルギーが確認され、薬物治療だけでは十分に症状を抑えにくい場合などに検討します。一方、ブタクサ、ヨモギ、カナムグラなどの秋の雑草花粉に対する舌下免疫療法は、現在国内で一般的に使用できるものはありません。

耳鼻咽喉科を受診する目安

次のような場合は、一度ご相談ください。

  • 鼻水や鼻づまりが長引いている
  • 毎年同じ時期に症状を繰り返す
  • 目や鼻のかゆみがある
  • 鼻づまりで眠りにくい、口呼吸になる
  • 市販薬を使用しても改善しにくい
  • 原因となる花粉やダニを調べたい
  • 片側だけ強く詰まる
  • 嗅覚低下、頬の痛み、強い頭痛、膿のような鼻水が続く
  • 咳や喘鳴、息苦しさを伴う

呼吸が苦しい場合は、通常の予約を待たず、症状に応じて速やかに医療機関へ相談してください。

患者さん向けFAQ

秋の花粉症は春の花粉症と同じですか?

症状は似ていますが、原因植物が異なります。春はスギやヒノキ、秋はブタクサ、ヨモギ、カナムグラなどが代表的です。

熱がなければ花粉症ですか?

熱がないことは参考になりますが、それだけでは判断できません。風邪でも発熱しないことがあり、アレルギーと感染症が重なることもあります。

アレルギー検査をすれば原因が必ず分かりますか?

検査は原因を考える手がかりになります。ただし、陽性になった物質が必ず現在の症状を起こしているとは限りません。症状が出る時期や環境と合わせて判断します。

秋の花粉症にも舌下免疫療法はできますか?

ブタクサ、ヨモギ、カナムグラに対する舌下免疫療法は、現在国内では一般的に行われていません。ダニアレルギーを合併している場合は、ダニの舌下免疫療法を検討できることがあります。

まとめ

秋にも花粉症はあります。ブタクサ、ヨモギ、カナムグラなどの花粉に加え、ダニやハウスダストが鼻症状の原因になることもあります。

透明な鼻水、連続するくしゃみ、鼻や目のかゆみはアレルギーを考える手がかりですが、症状だけで風邪と完全に区別することはできません。

症状が続く場合は、鼻の診察と必要な検査を受け、原因と症状に合った対策を考えましょう。

参考文献

  1. Okano M, Okubo K, Gotoh M, et al. Practical guideline for the management of allergic rhinitis in Japan 2024. Auris Nasus Larynx. 2025;52(4):426–441. doi:10.1016/j.anl.2025.05.005. PubMed
  2. 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会編.鼻アレルギー診療ガイドライン―通年性鼻炎と花粉症―2024年版(改訂第10版).ライフ・サイエンス;2024.日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会掲載情報
  3. Kawakami Y, Hashimoto K, Oda H, et al. Distribution of house dust mites, booklice, and fungi in bedroom floor dust and bedding of Japanese houses across three seasons. Indoor Environment. 2016;19(1):37–47.
  4. Demoly P, Matucci A, Rossi O, Vidal C. The disease burden in patients with respiratory allergies induced by house dust mites: a year-long observational survey in three European countries. Clin Transl Allergy. 2020;10:27. doi:10.1186/s13601-020-00331-0. 全文