「花粉症は、鼻がムズムズし始めてから薬を飲めばいい」と思っていませんか? 実は、花粉が本格的に飛び始める少し前から、鼻の中では“目に見えない小さな炎症(火種)”が始まっています。

そこで役立つのが、花粉が本格的に飛ぶ前(または症状が軽いうち)から治療を始める「初期療法(しょきりょうほう)」です。

🟢初期療法をするとどうなるの?

  • 花粉が一番多い時期でも、「くしゃみ・鼻水・目のかゆみ」が例年より楽
  • シーズン中に使う薬の量を減らせる可能性がある。
  • 鼻づまりで夜眠れなくなったり、勉強や部活に集中できなくなったりするのを防げる[1][2]

1. どうして“早め”が大事なの?

花粉が増えると、体の免疫が反応して鼻の粘膜に炎症が起きます。 これを火事にたとえると、「大きな火事になってから消火する」よりも、「小さな火種のうちにブレーキをかける」方が、ラクに症状を抑えられるという考え方です。

実際の研究でも、飛散前から「鼻にシュッとする薬(点鼻ステロイド)」を使ったグループは、症状が悪化しにくく、日常生活の快適さ(QOL)も良かったと報告されています。[2][3]


2. 初期療法でよく使う治療(代表例)

症状のタイプや重さによって、医師が最適な組み合わせを考えます。国際的なガイドライン(ARIA)でも、一人ひとりに合わせた薬の使い分けが推奨されています。[4]

1) 点鼻ステロイド(鼻にシュッとする薬)

花粉症治療の「エース」です。早めに始めると、ピーク時のつらさをグッと減らせます。[1][2][3] 「ステロイド」と聞くと不安に思うかもしれませんが、鼻に直接使うタイプは体への影響が非常に少なく、アレルギーのスイッチが入るのを先回りして抑えてくれます。[5]

2) 抗ヒスタミン薬(飲み薬)

くしゃみ・鼻水・目のかゆみを中心に抑えるお薬です。花粉が飛ぶ前から飲んでおくと、シーズン中の症状が軽くなることがわかっています。[6] 最近は「眠くなりにくいタイプ」も多いので、授業や試験がある人も安心です。

3) 抗ロイコトリエン薬(飲み薬)

特に「鼻づまり」が強い人に選ばれます。スギ花粉症の研究では、飛散直前から使うことで、症状が出る時期を遅らせることができたという報告があります。[7]


いつから始めればいい?

目安は「花粉が本格的に飛び始める前〜直後」です。

  • 毎年つらい人や、鼻がつまって眠れなくなる人は早めがおすすめ。
  • 受験や大事な大会がある人は、医師に相談して早めに対策を立てましょう。

天気予報の花粉情報をチェックして、鼻が少しでも「あれ?」と思ったら受診のタイミングです。


自分でできる対策もセットで!

薬だけでなく、花粉を「体に入れない」工夫を合わせるとさらに効果的です。

😷🤓外出時はマスク・メガネ(これだけで入ってくる花粉が激減します)。

🧹帰宅したら顔を洗う、服をはたく(部屋に花粉を持ち込まない)。

💦鼻洗浄(鼻うがい)をしてみる(やり方はクリニックで!)。


参考文献

  1. Haruna T, et al. (2019) Determining an Appropriate Time to Start Prophylactic Treatment with Intranasal Corticosteroids in Japanese Cedar Pollinosis. Med Sci (Basel).(初期療法の開始時期と効果に関する研究)
  2. Makihara S, et al. (2012) Early interventional treatment with intranasal mometasone furoate in Japanese cedar/cypress pollinosis: a randomized placebo-controlled trial. Allergol Int.(点鼻ステロイドによる早期介入の効果)
  3. Higaki T, et al. (2012) Early interventional treatment with intranasal corticosteroids compared with postonset treatment in pollinosis. Ann Allergy Asthma Immunol.(初期療法と発症後治療の比較)
  4. Brożek JL, et al. (2017) Allergic Rhinitis and its Impact on Asthma (ARIA) guidelines—2016 revision. 2017. ARIA(アレルギー性鼻炎とその喘息への影響)ガイドライン 2016年改訂版.
  5. Noyama Y, et al. (2016) Effect of intranasal corticosteroid on pre-onset activation of eosinophils and mast cells in experimental Japanese cedar pollinosis. Allergol Int. (点鼻ステロイドがアレルギー反応のスイッチに与える影響)
  6. 角谷千恵子, et al. (2006) スギ花粉症におけるアウトカム研究(第5報) : 初期療法における抗ヒスタミン薬の有効性およびCost Qualityの比較. アレルギー.
  7. Gotoh M, et al. (2011) Delay of onset of symptoms of Japanese cedar pollinosis by treatment with a leukotriene receptor antagonist. Allerol Int. (抗ロイコトリエン薬による症状発現の遅延効果 )